小説

永遠も半ばを過ぎて 著・中島らも

綺麗な小説だなぁと思う。 そしてこの綺麗さは現実を覆う皮膜に対する絶望感からきているのだと思う。 現実に抗うための唯一の武器。それは「嘘」 嘘は美しい。 だって嘘なんだから。 孤独というのは「妄想」だ、孤独という言葉を知ってから人は孤独になった…

クビキリリサイクル 西尾維新

一応お勉強のつもりで読みました。 以前「君とぼくの壊れた世界」の感想を書いたんですけど http://d.hatena.ne.jp/narko/20031210その印象とおんなじかな? もっとガンガン死ぬ話かと思ったらあっさりしてて裏切られた(笑)気分。 もっと嫌ァ〜な陰隠滅滅…

愛と幻想のファシズム(下)作・村上龍

後半忘れるわけだよなぁ 何か一生懸命勉強したのはわかったけど、 読めば読むほど狩猟社とザ・セブンやら日本政府やらの戦いや関係に興味がなくなってく。面白いのは多分村上龍さん自体も書いてて飽きてたんだろうね。 書けば書くほどやる気がなくなってくの…

愛と幻想のファシズム(上) 村上龍

昔エヴァブームの時読んだけど、ほとんど忘れてた。 すごい読めたってのとトウジの演説とゼロのヘナチョコぶりだけしか残ってなくて。 久々にページめくってたら面白くて一気に400ページくらい読んだ。 それでもまだ半分以上あるのがうれしい。うまく感想…

桐野夏生 残虐記

う〜ん。これは失敗作なんじゃないだろうか? 桐野さんのいいトコでもあり悪いトコは構成に凝り過ぎることで、登場人物が全部すごい背景をもっちゃうと何か醒めちゃうんですよね。 OUTとか柔らかな頬や短編集の方がいい*1のは、ちゃんと普通の部分がある…

蹴りたい背中 綿矢りさ

ストーリーはクラスの余りものの主人公の女の子とオリチャン*1というファッションモデルファンのにな川との交流に話って感じですかね。 いやぁ綿やんすごいっす。これオタク批評であり男批評ですわ。 しかもちゃんと物語になってるし。 構造としては、にな川…

蛇にピアス 金原ひとみ

いやぁ生まれてはじめて文藝春秋を買いました。 「蹴りたい背中」と「蛇にピアス」をまとめ読みしたくてつい(笑) あとインタビューと選考理由が載ってて、全部まとめて読んで面白かったです。この二人はこんなに違うんだなぁ。 お二人の比較は後々するとし…

リアルワールド 桐野夏生

表紙のヘンリー・ダーガのイラストと帯の 「ねぇとりかえしのつかないことってあるんだよ」 「これがわたしたちの戦争」 後ろの帯の 例えば、わたしたちは子供の時から、家庭教師はいかがですかという電話や、 無料進学相談を騙った塾からの勧誘に晒されてき…

 柔らかな頬 桐野夏生

桐野さんの直木賞受賞作、内容は実の子供が突然神隠しにあったように失踪してしまったことがきっかけでいろいろなものが壊れて失われていき、最後に少しだけ落ち着く話とでもいえばいいのでしょうか?主人公はカスミという女性、作中では彼女の人生がこれで…

  桐野夏生「村野ミロ」シリーズ雑感

参照作品 「顔に降りかかる雨」 「天使に見捨てられた夜」 「ローズガーデン」 ここ数日、桐野夏生さんの小説を立て続けに読んでいるのだが、この人は何も信じてないんだなぁと改めて思う。 でもこの人の書く主人公は強い。 何も信じてないから強いのか、そ…

桐野夏生 「ジオラマ」

こちらは短編集です。今日買って一気に読んでしまいました。 もしかしたら短編の方がこの人の冷たい描写力が生きてるのかなぁと思いました。逆に言うと長編における構成力はないのかも*1しれません。 特にはじめに載っているデットガールが素晴らしいです。 …

桐野夏生 「光源」

私は桐野さんの作品は「OUT」だけ読んでいて、文体の冷たさとOUTで言えば邦子のような、うまくいえないけど女むき出しの女*1をミもフタもなく描く人だなぁと言うものでした。 そのミもフタもない感じは多分この人が階層を意識しているからだと思う。 そし…

サウンドトラック 古川日出男

2009年のヒートアイランド現象により熱帯化した東京で繰り広げられるトウタとヒツジコとレニの物語とでも言えばよいのでしょうか? 物語はトウタとヒツジコの幼少期から追いかけていくんですけど、個人的には中盤のヒツジコが踊りに目覚めて仲間が増えて…

 西尾維新「きみとぼくの壊れた世界」

私、年末になると本読みたくなるんですよ、それで何かないかなぁ?と思って コレか古川日出男さんの「サウンドトラック」か迷って、安かったのでコレにしました。サウンドトラックは正月に読もうかなぁ。 基本的にミステリーに興味ない私の感想として、こう…