桐野夏生 「ジオラマ」

こちらは短編集です。今日買って一気に読んでしまいました。
もしかしたら短編の方がこの人の冷たい描写力が生きてるのかなぁと思いました。逆に言うと長編における構成力はないのかも*1しれません。
 
特にはじめに載っているデットガールが素晴らしいです。
多分「グロテスク」につながる話で簡単に言うと売春してるOLがラブホテルでシャワーを浴びてる間に突如部屋に現れた女と会話する話です。
あんまり書くとネタバレしすぎてしまいますけど、何かすごいです。
男女の関係を「戦争」と例えてしまえることが特に。

多分私は桐野さんの視線が気になるのだと思います。この人が見てしまったこと感じてしまったこと。
でも実はそれに対しての桐野さんの結論はもう決まってるんですよね。
一人で強くなること。
でも強くなればなるほど一人になり壊れていく。
むしろ強くなることこそが壊れる原因になる。「OUT」の雅子の悲しさはそういうことだと思いました。

*1:もしくは放棄してるのかも