桐野夏生 残虐記

う〜ん。これは失敗作なんじゃないだろうか?
桐野さんのいいトコでもあり悪いトコは構成に凝り過ぎることで、登場人物が全部すごい背景をもっちゃうと何か醒めちゃうんですよね。
OUTとか柔らかな頬や短編集の方がいい*1のは、ちゃんと普通の部分があるからなんですよね。

Vシネマっていうかハーレークインロマンス*2っていうか。もっと単純に監禁された10歳の女の子の内面を追ってく方が良かったんじゃないかな?
それと同時に無自覚な世間って構図で。
その描写になるといつものクールな視線が生きるんだけど、監禁してた犯人の側の描写とそれを女の子が想像する場面になると途端につまんなくなるんですよね。
ほとんど読み飛ばし。
あっでも見られる快楽の話は少し面白かった。
理不尽な視線に晒されたせいで現実感がおかしくなった女の子の話
としては面白いです。
このコが高校生になってエロ小説書いて話題になるって展開と、若手新進女流作家が30代後半になって才能が枯渇して煮詰まって遺書を書くって設定はいろいろあの人とかあの人とか想像させるけど。
結局ラストは想像力とは?って話になるんだけど
この本もあらすじだけ聞いて想像してる時が一番よかったなぁ。

ただそれと別に感心したことは言葉の使い方がいいなぁと思いました。
言葉のバリエーションは中高生レベルだと思うんだけど。
無駄がないなぁと思いました。

*1:グロテスクはまた別枠で

*2:昔書いてたらしいです。あとレディースコミックも、これで男性キャラのホストっぷりの謎が解けた