クビキリリサイクル 西尾維新

一応お勉強のつもりで読みました。
以前「君とぼくの壊れた世界」の感想を書いたんですけど
http://d.hatena.ne.jp/narko/20031210

その印象とおんなじかな?
もっとガンガン死ぬ話かと思ったらあっさりしてて裏切られた(笑)気分。
もっと嫌ァ〜な陰隠滅滅とした話だと思ったのに。
今作品は戯言シリーズって言われてるけど。
西尾維新の作風自体にそういうものを私は感じてしまう。
常に先回りしていいわけしながら書くような
「どうせぼくが書くミステリーなんて戯言ですよ〜」って言って最後まで逃げられた
なぁって気がして村上春樹のいつも「やれやれ」って言ってる僕を連想した。

例えば佐藤友哉舞城王太郎はうまい下手は別にして
言い訳が効かなくなるトコまで突きつめてくれて
ある種の思春期的な痛みを良きにしろ悪きにしろ味あわせてくれる。
西尾維新は「その痛み」を回避するために必死で戯言を言ってるんだと思う。
まぁ、その必死で回避しようとする僕の感じ「大人の振りをするのは常に子供」
って感じで逆に思春期性を強調してて、いいなぁと思わす、例えばサリンジャーフリッパーズギター時代のオザケンの詩を連想させるんだけど。それが意図的なのか、本人は完璧のつもりなのかがイマイチわかんないけど。
だから今後、たとえばいーちゃんと玖渚友(それにしても、このネーミングセンスだけ何とかならんのか?)の関係性を曖昧なままじゃなくて行くトコまで突きつめられるのか?
例えば佐藤友哉は突きつめたからクリスマステロルまで行かなきゃならなかったんだけど
デビュー作のコレに関して言うとそこを突きつめてなくてキャラの顔見せ興行
に終わったかなぁって気がする。
だから売れるのはわかるんですけどね。

しっかし友みたいなタイプはある種の高偏差値の優等生の憧れの異性なんですかね。
コンピューターみたいな頭の良さと女ってより子供って感じの精神年齢って
ケイゾクの柴田純を思い出しました。

魅力的なキャラや台詞、関係性をこの人が書けるのはわかったけど、その先をちゃんと書けるかどうかですね。この人を評価するかどうかは?
とりあえず今は佐藤、舞城と較べると一段落ちるかな。
ちなみにミステリーとしての評価はよくわかんないけど問題外だと思う。
何か本気だしてみなさいよ。
って気分になった。