フリクリ1〜3 監督・鶴巻和哉 脚本・榎戸洋司

キッズステーションで鑑賞。
とりあえず3話まで
レンタルで以前も見たけど、榎戸さんの脚本と演出が見事にバラバラ。
ついでに貞本さんのキャラクターデザインも
すべてが乖離したまま勢いだけで突き進むって感じ。
その勢いが楽しいけどもったいないって感じです。

私は榎戸さんの脚本の台詞が好きだからもっとそっちがみたい。
特にマミ美がエロすぎ(笑)
榎戸さんは今一番エロい会話が書ける人だと思う。
でもそのエロさが文系というより理系なんですよね。
ちゃんと骨組みがしっかりしてるというか、細かい小道具に一切無駄がなくて
それ自体がちゃんとテーマと繋がってる。
例えば鮫島マミ美が主人公のナオ太クンのことをたっくんと呼ぶんですけどそれはナオ太クンの兄貴の名前がタスクでその身代わりなんですよね。
2話で猫を拾うけどそれもタッくん(笑)
タスクを好きなマミ美にとってナオ太も猫もタスクの代わりでナオ太もそれを知ってるけどマミ美が心配だから知らないふりをしてる。そばにいるために。
そしてナオ太にはその兄から手紙がきてて兄に彼女ができていることを知っている。

不在の兄*1を挟んで繋がってる恋愛遊戯としか形容できないつながり
そしてそれはいつか終わることを暗示させる。
そういうストレートじゃない恋愛うまくいえないけどマイナスの未来のない*2恋愛を榎戸さんはとてもセクシャルで美しく書くなぁと思う。

ただそれと鶴巻さんの演出や、やたら動くアニメーションが見事に乖離してるんですよね。
いや、ちゃんと見れば繋がってるんだけど、それが効果的じゃなくてお互い潰しあってるような気がしてそれが惜しいなぁと思う。
ただそれは2話までの印象で外伝的な3話の市長の娘の二ナモがメインの回になるとうまく絡んでる気がする。
でも一番感情もってかれるシーンはアニメーションじゃなくて、ナオ太と二ナモが口論するトコだったりするんですよね。まぁ人によって違うんだろうけど。

それにしても榎戸さんの脚本はいいなぁ。
理論的でかつエロくてテーマがある。
エヴァ前半の功労者は榎戸さんだと思う。とりあえず少女マンガと寺山修司が好きで
エヴァ以降アニメをあんま見てない人はウテナフリクリはオススメ。
アニメって脚本家を評価する言葉がないから、もっと作家として評価されていいと思う。
そうじゃないと実写にとられちゃうぞ。
まぁ連ドラとかも書いてほしいけど。
忘却の旋律はまだ見てないんだけど。

あとは舞台設定とかキャラデザインとかが意図的にキューティーコミックとかイーストプレス系やヤンマガ系のデータベースを抜き出して作ってる。
だからその手の例えば古谷実さんとか安野モヨコさんとかが描く世界観の総決算みたいな感じになってる。ただ入り口までかなぁって気はするけど
舞台となる架空の地方都市の描写が結構好きで、もしかしたらデータベース消費として楽しんでるトコもあるのかもしれない。だからオタクに受けないのもよくわかるというか。

個人的にはすごい大事な作品なんだけど
続きは今週4〜6話やるので、その後考えます。

追記・「未来のない恋愛」って言葉がふと出たけど、それってなんだろ。
やっぱモラトリアムとか現実逃避ってことかな。
今・ここが辛いからつかの間の「痛み止め」として存在する恋愛もしくは性愛
そういうのはすごいセクシャルだなぁと思う。
そして今それを感じさせてくれる脚本家って榎戸さんだけかも。
ATGとかにはいるんだけど。

*1:それはナオ太にとっても

*2:それゆえ完璧な