岡田「明らかに(ボーダーには)本物って考えがありますよね、世の中には1パーセントの本物があって99パーセントのニセモノがそれを見えなくしてるんだって世界観、考えが馴染めなかったんですよ」
大月「本田勝一みたいなね」
岡田「1パーセントの本物のために99パーセントを糾弾したらこの世の中生きてる人の99パーセントはダメになるじゃないですか」
岡田「現にこのマンガの中でも自分たちはダメな人間だと言いながら無為に生きてる一般大衆に対する強烈な蔑みが(劣等感の裏返しとしての優越感が)あるのが嫌でしょうがなくて本物を守るためなら偽者を攻撃してもいいんだ。ニューミュージックを聴いてる奴は馬鹿にしていいんだ。それは屑だからってメッセージがうっとうしくて仕方がなかった」
夏目「それは重要なことだと思う。俺は多分一時期そこにいたんだよ。年代的に、それをダメだこりゃと思って一生懸命切くずしていったんだよこの連載の頃、それの方がまともだったんだから、ニューミュージックが大衆に受けるってことには意味がるんだ。この作品を悪いとは思わないし感動したけど居場所は違うので。だからそういう視点は持つべきだと思う。」
大月「それは旧来のインテリのパラダイムとしてある考えなんですよ、ある種の大衆蔑視が構造としてある。今は違うじゃないですか、フラットに見れるようになった。それなりに(ニューミュージックにも)内実はあるだろうと思うけど、じゃあ自分にとってどう?自分の価値観としてどうってのがあるんですよ」
岡田「もう、それはマンガ夜話では語れる領域じゃない一時間かかる(笑)」
大月「そこに線があるんですよ岡田さんとは」
岡田「いやそんなにない(強気で)僕と大月さんにあるんじゃなくて僕や大月さんの心の中にあるだけで両方あるんですよ。両方あるから感動もできるし嫌にもなるし個人の中にあるものを二つに別ける考えが嫌なんですよ。」
北野誠「でも、あそこまで線引きして叩きつける剛速球のパワーが岡田さんには嫌がられるし大月さんはひきつけられるんですよね、僕は叩きつけてくることで胸がざわつくざわつき感が好きなんですよ。だからエネルギーいるし、うっかり読めないんですよ」
岡田「両方あるんですよ。自分の中にボーダーがあることの劣等感があってこんな風に純粋に生きないといけないんじゃないか?っていう罪悪感があるんですよ」
いしかわ「そういう意識をもつ人は70年代はいて、まともな意識もってる人は彼岸に行きたいって思ってた。でも80年代90年代以降アウンヘ−ベン(止揚)してしまって、向うとこっちはどっちも行ける価値観になってしまった」
大月「逆に10代が読むと違う読み方しそうで怖い気もしますね」
夏目「選別したり断定することには快感があるんですよ。それは警戒しないといけない。でも大月さんがいうのは倫理はあるんじゃないの?ってことですよね。それはあるんですよ、でもそっから先は一時間かかる」
大月「で普遍化する必要もないと思うんですよ。でもそういう奴はいるってことで」

BSマンガ夜話ボーダーの回からの引用、会話のため一部わかりやすく整理してるので意訳ということでお願いします。

id:bakuhatugoroさんの所にコメントしようかなぁと思ってたら町山さんが
コメントされて、だいたい納得したので、触れられてないBSマンガ夜話の回
の部分にだけレスを。
多分bakuhatugoroさんは本放送を見てなくて夏目さんのブログを見て書かれたと思うんですけど
本放送のコメントはこんな感じでした。
岡田さんが言いたかったのはある種のマイノリティ共同体が陥る罠に対する
もので、同じニュアンスでマイケル・ムーアについても言ってると思う*1

多分その警告は日本だけで見るなら正解なんですよ。
ただアメリカにいる人のリアリティだと全然事情が違って。
その辺岡田さんは見えてないんだろうなぁと思う。

確かに劣等感から来る優越感は危ういし
私の年代だとオウム事件ってそうなんだけど。
でも・・・ってトコがあるんですよね。
何つーか弱者(もしくは貧乏人)に残された最後の武器っていうかモチベーションっていうか。
それを奪われたらホント何もなくて
テロとかに行くとヤバいけど、もっと別の方、まぁ岡田さんに言うのは愚問ですけど
クリエイティブな方に向かうならいいと思うというか、それしか最終的になくて。
とか王立宇宙軍をBSで見ながら思いました。

*1:このボーダーの回の意見はそのまんまマイケルムーアに当てはめてもいいと思う