NANA 10巻 矢沢あい

恐ろしいことに以前に較べて
NANAの世界が理解できるようになってしまった(笑)
特にこの10巻はすごいなぁ。台詞の一つ一つにグッときてて
何てベタな私。

多分物語がハチ視点からナナ視点に移ったのが面白い最大の理由なんだろうけど*1ぶっきらぼうなナナのモノローグから
失ったものを何とか取り戻そうという気概
焦燥感が感じられてそこにう〜っと泣くねわたしゃ。
多分矢沢あいって人は
この物語を通じて本気で大人になるっていうことを描こうとしている。
本気で書くから、奇麗事はないけど、しょせん世の中なんて〜みたいな
ニヒリズムもない、一つ一つのことに本気でナナもハチもぶつかっていて
そこでぐちゃぐちゃに揉まれてて、それでいてつぶれない、つぶされない
タフさがある。
言葉にすると当たり前でつまらないことなんだけど、そういう当たり前のこと
をうまい具合にエンターティメントにして見せてくれる。
いやぁちょっと甘く見てたなぁナナカッコイイ男前!

ようやくわたし達の
夢がかなう

だけど追い求めている理想と
押し寄せてくる来る現実は
いつも睨み合って
なかなか丸くおさまらない

どうやら人は
何かを得る為に
何かを支払わされる
システムに組み込ま
れているようだ

薄々
気付いていたけど
満ち欠けのループは
宿命だな      NANA10巻より

大人になるということはどういうことだろう?
失ったものを取り戻すことなのか?
失ったものを断念することなのか?

ナナもハチも他の登場人物も、一見スカしてるようでいて*2変に諦めてなくて自分の立場で
精一杯あがいていて、それは時にみっともないんだけど、そのみっともなさ
がいいなぁと今は思う。
やっぱりいつの時代でも
何かに一生懸命泣いたり笑ったり怒ったりする姿ってのは
みんな好きなんだろうなぁ。
そこら辺が人気なのかも
とにかく感情がもってかれる。

あと見逃せないのはこの巻ではナナたちを取り囲む社会がマスコミやレコード会社の思惑という形で出てくる。
そこで大人は汚いと悩むのが育ちのいいノブだけで他のバンドメンバーは「それならとことん利用してやろう」ってなるトコが嬉しい*3

そのシステムとの戦いが今後どう描かれるのかが楽しみ。

*1:というよりはハチが脇に行ってやっと安心して読めるというか

*2:何せイケメンぞろいで、そこだけ少女漫画(笑)

*3:と同時にノブの良さにナナが気付くのもまたいいなぁ