イノセンス追記

http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20040307

こちらによると、どうやら私はイノセンス否定派らしいですけど、否定派といわれるとちょと違うんですよね。
あえて点数つけるならイノセンスは78点(内、犬のシーンで50点)って感じで
普通の映画としてなら次第点、押井さんの映画として観るなら低評価って感じです。
ちなみに私の感覚でいうと
攻殻機動隊 82点
アヴァロン 73点
劇場版パトレイバー2 120点
劇場版パトレイバー1 98点
うる星やつら2ビューティフルドリーマー 108点
紅い眼鏡 測定不能
天使のたまご 眠い
って感じです。

例えばですけど「千と千尋の神隠し」が「宮崎駿の最高傑作だ!」て言ったら
古くからの宮崎アニメファンは怒るでしょ。
その感覚ですよ。

私はイノセンスに100点以上を期待してたんですよねぇ。
その意味では期待が大きかったのかなぁって気がします。

あとアヴァロンの頃から思ってたんですけど、今の押井さんって押井マニアと自分が楽しむだけのための映画になってるんですよね。
昔のパト2とかビューティフルドリーマーだと、まずその作品のファンとの軋轢があってそれが作品の面白さと熱になってたんですよね。
それが攻殻機動隊は、そこまで熱い思い入れが入るタイプの作品じゃないからか?士郎正宗さんと押井さんの体質が近いからか、あんま軋轢が起きてなくて予定調和になってるんですよね。
そんなの押井作品じゃない!って私は言いたい(異議なし)
何かお約束を破るためのメタがお約束になってることに無自覚なのかなぁ。
もう「虚構と現実」みたいな発想事態が擦り切れてる気がします。

だから「はてな」でボロクソに言われてるのは私は正しいと思うなぁ。
もっと踏み込めるはずだし、同じテーマなら山本直樹さんや桐野夏生さんの諸作品や岡崎京子さんのヘルタースケルターの方が先行ってるし
映画ならファイトクラブの方が体の問題をもっと過激に扱ってる。

ただ↑の作品群は奪われた身体や心*1をいかに奪い返すかってモチーフ*2がどこかにあったんだけど、イノセンスはそういうものがないんですよね。
もう心も体も戻ってこない。固有のものはないんだ。
だから犬と人形で余生を過ごそうって感じで。

私はやっぱそれはヤだなぁ。
どんなに情報化が進んで便利になっても
ちゃんと体や感情を感じていたいもん。
って感じで、だから思想的な部分での共感はできないですね
まぁラストのやりとりには押井さんの俺は生身の少女より人形や犬の方だ大事なんだよって肉声が伝わってきて、思想的には嫌だけどその啖呵お見事って思ったけど。

で、結局私は否定派なのか肯定派なのか?
いい映画ってのはいろんな感情を巻き起こしてくれていろいろ考える素材に後々なってくれるものなんじゃないですかね?
そういう意味でイノセンスは面白かったです。
でも私は押井守を甘やかしたくありません。
以上。

http://a.hatena.ne.jp/narko/simple

*1:現実感といってもいい、それは主に風景に託されるんだけど

*2:もちろん今までの押井作品にもあった