イノセンス 監督押井守

若干ネタバレ

とりあえず犬かわいい、以上。




ってわけにはいかないので感想を
前半のコンビニぐらいまでは面白い。
中盤のチャイナタウンの描写に圧巻
でもキムの館に入ったあたりから急に映画になっちゃったって感じで
最後のラストバトル*1に至ってアレ?って感じ
何か終わってみたらオチがついたなぁって感じで、見る前に期待してたような人は孤独や不安をどうやって埋めてくのか?
そのために作られたロボット*2達の悲劇。
みたいな方向へは行かなかったかなぁ。
元々攻殻機動隊の世界観はすごい魅力的で今深夜に放送されてるテレビ版も毎週見てるんだけど、どうにもストーリーの部分が弱くて難しい論文を読まされた気になるんですよね。頭ではわかったけど感覚的にビンビン来る感じが全然なくて。
多分今回の脚本を押井さん本人が書いてることも影響してると思うけど、せっかくセクシャルなものをやろうとしてるのに理屈が勝ってる感じにどうしてもなってる気がする(唯一犬のシーンだけ理屈を越えたものがあるんだけど)。
だから変なオチ*3をつけるんなら、最初から大きい事件なんかいらないからバトーをガイドにロボットで孤独を埋めようとして失敗した人たちの地獄巡りに徹底するべきだったのかなぁと思う。
いわゆるCRAMPの「ちょびっつ」のダークサイド版として行くべきだよなぁ、そしたら良い意味でのオタク批評にもなったんだろうし。

実はこれストーリーの構造は劇場版パトレイバー1と同じなんですよね。
まずロボットが暴走してその理由を追って行くという。
その構造に今まで押井さんがやってきたモチーフがモザイク的に入れられていてその意味で千と千尋の〜みたいな感じもする。
ただこれが昔の押井作品なら事件だったシーンが予定調和に見えていて、いらんファンサービスに見えてしまいました。

もう今更さぁ「虚構と現実」がどうこう何て言われてもこっちはおどろかないんですよね。「すべて夢」とか、そういうメタ自体がお約束になってしまったって気がする。そういう不確かな現実はもう前提ってトコにいるわけで。
だからそのことを描写するキムの館でちょっと醒めてしまった。

あと素子もあれなら登場する必要ないんじゃないの?甘甘だよなぁとか思った

「OUT」の映画版を見た時も思ったんだけど、この人たち*4は結局孤独って奴を理解してないんじゃないの?何ですぐ群れるの?とか思った。もしかしたら集団作業の映画と小説の違いだろうか?
やっぱ孤独を表現するなら小説が一番だと思う。

もっと私は犬に餌やりながらメソメソ「素子ォ〜」とか言うバトーが観たかったです。

最後に触れなきゃいけないのは技術面だけど、こっち方面の進化はもう打ち止めかなぁとか思った。
スゴイのは認めるけど、パトレイバー2みたいなドキドキする感じはなかったなぁ。リアルな絵って感情に引っかからないんですよね。
だからスゴイのはわかるけどスルスル流れた感じです。
プロダクションIGは絵が良すぎて損してる気がする。
キルビルアニメパートは良かったのになぁ。
ちょっと押井ファンとしては期待に届かなかったかなぁって感じです。
でも犬はかわいいです。

*1:メタルギアソリッドみたい、360°いろんな角度から画面を捉えてると何か映像の作家性みたいのが奪われちゃうんだなぁとか思った。バトーの走り方もゲームのキャラみたいだし

*2:正確には人形?気持ち悪くてよかった

*3:人狼のラストっぽい

*4:本当は男と書きたいけど自制