村上かつら短編集1 作・村上かつら
この風景見たことある。
この気持ち覚えがある。
この女の子知ってる。
そういう風に久々にマンガを読んでて思わせてくれた。
岡崎京子と山本直樹のいいトコを継承してるんだけど、ななはんキリコみたいに絵が洗練されてないから、その拙い絵や言葉、コマ割りの隙間からボロボロといろんな煮え切らない感情が零れ落ちてくる。
そんなの見せないで、そんな気持ち思い出したくない!と思いながらもついつい読んじゃう。
多分嫌いな人はめちゃくちゃ嫌いで破り捨てたくなるんだろうなぁと思う。
97年に大学二年ってだから、たぶんほとんど同じ年だろうなぁ。
もうイヤってほど見てきた風景、憎たらしいアイツの顔
飲んだ後何もすることもなく話すこともなく終電もないので夜が明けるまで
ダラダラ歩いてたひんやりとした空気。
それすらも遠い過去になってしまったからこそやっと語られる
語らずにいられない物語というものがあるなら、きっとこういうものだと思う。
ちょっと気になるのはたいてい最後は普通の男女がくっついて、突出しすぎた、例えばいろんな男と寝てたりとか、かわいくてアイドルになった高飛車なコとかの側(エヴァでいうとアスカみたいな過剰な自分をもってしまったコ)がいつも消えていくという展開。何かそこだけ限界を感じる。
私はやっぱそっち側のコが気になるなんだよなぁ。
もっとそっちを描いてほしいと思う。
ああいう普通の壊れてるコは今いっぱいいるんだから。
とまぁここまで書いておいてCUEの方は読んでないし買ってなかったりする。
多分村上かつらって人は中途半端な煮えきらない若いコを描く人だと思うんだけど
何だっけサユリ28号?ってのもそういうコ達を描いてたなぁって気がする。
それがCUEだとそういうコ達に演劇という舞台を与えてて、もしかして何も無いコ達が何ものかになる話を描こうとしてるのかなぁ?と気になる。それこそガラスの仮面みたく。
ただどっちも今は読んでない。そのうち読むかもしれないけど。
- 作者: 村上かつら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/09/30
- メディア: コミック
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