NANA 11巻 作・矢沢あい

ぶち壊してやりてえなあ
なんか何もかも

トラネスの連中の
すました顔も
司会の二人の
貼り付いた笑顔も
用意された当たり
障りのない質問も

全部猿芝居だ
全部茶番劇だ

つまんねえ番組

でもあたしだって

マスコミの
仕立てた
ブラストの
ナナを
演じてるから
金もらえてん
だよな

好き放題やって
稼げる程 世の中
甘くねえって事か P162より
あたしの人生
どーせ元々
三流ドラマだ

暗い過去は
どーにでも脚色して
勝手に噂すればいい

だけど明るい未来への
シナリオは

自分自身で
書かなくちゃ

もう
なすすべもなく
立ちつくしていた
子供じゃねえん
だから  P165より

どんな理由や動機であれ戦ってる人
特にそれが女の人の場合カッコイイなぁ美しいなぁと思ってしまう*1

こういう、やや古いぶっきらぼうな言い回しが
結構好きです。表面はオシャレに見えつつ根っこに
ヤンキーセンスがちゃんとあるトコがNANAの魅力じゃないでしょうか?

それにしても、このマンガどこに向かってるんだろう?
つまり登場人物たちが何を目指してるのか?
例えばBECKならバンドの成功を目指してるってのがわかるんだけど
NANAの場合それはゴールじゃない。
普通の少女マンガなら王子様が現れてハッピーエンドなんだけど、この漫画は
それ=恋愛の惚れた腫れたは過程の一つで、更にその先を何とか描こうとしてる
ような気はする。
でもその先は多分作者もよくわかってないんじゃないだろうか*2

だからかわかんないけど時々読むのが辛くなる。
必要以上に自分の中の「寂しさ」が煽られる気がして。
自己愛の化け物がムズムズとしてくる。
それがエヴァとかだと悪意でやってるのがわかるけど、矢沢あいは多分そういうのなし
に直球で描いてる気がする。
だから登場人物がみんな役割でなくそれぞれの事情で生きてるなって思う。

多分その辺りにこのマンガのツボがあって、それが人によってハマッたり逆にカチンときたり
私みたいに怖くなったりするんだろうなぁと思う。
どっちにしろ、そういう感情を煽る力はすごいなぁと思う。

以前の感想→http://d.hatena.ne.jp/narko/20040316#p1
前の巻を読んだ時は「大人になることを描こうとしてる」って書いたけど
それなのかな?
自分で書いてて断言する自信ないなぁ
結構その時の気分で書いてるし(笑)

追記、「下弦の月」はどうしよう。映像の感じだと微妙だなぁ。

*1:逆に幸せな人間の顔は醜く見える。はい、どーせ嫉妬ですよ

*2:多分この巻で急に存在感が増した登場人物たちの親との関係に伏線がある気はするけど