ファウスト三号を買ったんですけど
こちらの犬惑星さんの感想が秀逸
http://d.hatena.ne.jp/dogplanet/20040715#p1

ここで言われてる童貞センスって私が思う「僕」系表現のキモだと思う。
それは実際にヤッたかどうかは別にして「心の童貞」とでもいいましょうか。

この反対側に「映画秘宝」のボンクラ感覚があって。
ただ、どっちも別にモテはしないんだけどね、多分。

でも最近、村上龍の「共生虫」も読んで、あれなんか滝本竜彦とか佐藤友哉が書きそうな
題材なんだけど出方が違うんですよね。やっぱ佐藤友哉とか滝本竜彦って悩む内面ありますからね
「ウジウジ悩む僕ちんってナイーブでかわいい」みたいな。
対して「共生虫」はもっと「行け行けウエハラ」って感じでアッパーな感じで実はこっちの方が好きだったりする。
でもその分ズレがあるんだろうなぁ。
多分村上龍は追い詰められてテンパッた人がそこから抜け出して突き抜けようとする姿勢が好きで、その行動が描けけりゃ別に中学生でも女子高生でも引きこもりでも何でもいいんだろうなぁ

多分ファウスト勢の中では舞城さんが当初はそっちより(俺系)だったんだけど、いつの間にか場所の磁力なんですかね?「僕」系になってしまった。そんな気がします。

実はファウストに書く舞城さんや佐藤友哉みたいな人がメフィストで出てきた頃って戸梶圭太さんとか小川勝巳さんとか、あと石田衣良さんの池袋ウエストゲートパークも含めていいと思うけど
鬼畜系というかジャパニーズノワール勢がどっと出てきてるんですよね。
その両輪で今の小説界は動いてるというか。
まぁ言うほど詳しくないんですけど。
だからファウストに不満なのは、そっちがまるで存在しないことにされてることで、いいのかそれで?って気がどうしてもする。
舞城さんはメタとかやって僕系の読者に媚びないでいいから、もっと阿修羅ガール前半みたいな実も蓋もない奴書いてほしいです。
別に文学なんて背負わないでいいから。
あと新人の選考が乗ってなかったのが残念。メフィストファウストもあれが一番面白いのに。

追記。舞城、芥川賞落選。
よかった(笑)審査委員のボロッかすに貶されるくらいの方が丁度いいって。

今更だけど

大森 いや、あれを書けるのは才能の証明ですよ。今、文芸全体のテーマって『世界の中心で、愛をさけぶ』をどうするかってことじゃないですか。「作家なら、ぐだぐだ陰口言ってないであれを正面から叩きつぶしてこい!」と(笑)。「好き好き大好き超愛してる。」はちゃんと叩きつぶしにいってる作品なんですよ。
豊崎 はいはい。
大森 舞城王太郎は『DEEP LOVE』や『世界の中心で、愛をさけぶ』で泣いてる女子高生にどうやったらメッセージを伝えられるのか、たぶんちゃんと考えてる。だから、「愛は祈りだ。僕は祈る」なんだよ。文芸誌なんか知らない読者にも伝わるように、思いきり素朴に、カメラに向かって正面から語ってる。でなきゃ、恋人を癌で亡くす話なんか書かないって。それこそオレンジレンジの歌になってもいいくらいの強い覚悟でさ(笑)。そうはいっても完全にベタな話には徹し切れてなくて、SFのパートは舞城版『最終兵器彼女』/『イリヤの空、UFOの夏』みたいな設定を採用して、“セカイ系”への回答を提示してたりもするんだけど、それがちゃんと『世界の中心で、愛をさけぶ』を乗り越えるという困難なテーマに寄与している。
http://media.excite.co.jp/book/news/topics/089/

そうか舞城はセカチュー読むような読者と戦おうとしてたんだ(笑)
その志は立派だなぁ。
多分この人って〜風ってのが簡単に書けるんだろうね。
文体から何から。
ファウストでやるならセカイ系っぽくとか
三島賞ならコレって感じで
そのうわべだけいただきな感じが大塚英志にカチンとこさせてるのかな?
書き方自体がパロディというか何というか。
でも豊崎さんがいうように天然のトコもあると思うんですよね。
本気で愛の物語描こうとしてるし人情モノだし。
メタとかそっちで注目されるのが不本意なのって
私が読んでてツボなのはそっちだったりするから何だよね。
多分ほとんどの読者も愛の部分と文体の部分だと思うし。
久しぶりに短編集買うかなぁ。