ゼブラーマン 監督三池崇史 脚本宮藤官九郎

哀川翔主演100本記念作品。
内容はかつて打ち切りになったヒーロー番組ゼブラーマンのマニア
のダメ教師市川新市*1が、ゼブラーマンのコスプレをしたまま外にでた時変質者カニ男と戦ったことをきっかけに本当のヒーローになっていく話です。
シナリオブックと映像を比較すると、シナリオだともっとコミカルで、いつもの宮藤さんのテイスト(当たり前だけど)で、映像化されたものとこんなに変わるんだとびっくりしました。
その意味で良くも悪くもアクの強いクドカンテイストを三池監督が腕力でねじ伏せて自分のものにしたというか、わかりやすく言うと会話で見せてたシーンがあるとするなら三池さんはソレを一枚絵で表現する。
あくまで映像で勝負してるんだっていう気概を感じました。
ただ個人的には三池さんの作品はそんなに好きじゃなくて、何というか、いつも最後まで入り込めないんまま見終わるんですよね。
唯一良かったのは「DEAD OR ALIVE 犯罪者」であのラストの流れくらいまで放り投げてくれるとこっちも認めざるえないなぁって感じで。
もっと言うと漢(おとこ)の世界だなぁって
この人は女がいらない*2人なんだなぁとか思ってしまいます。
まぁ私がいう所の「俺」系の最たる人で、私は「俺」対「僕」では基本的に「俺」を支持してるんですけど、「俺」系の男の子ってのは基本的には女の人にセックスか母性しか求めてないくて、私みたいな屁理屈ちゃんは居場所ないんですよね。むしろコミュニケーションとれるのは「僕」系の人で、その分イライラとかあってぶつけちゃうみたいな感じってまんまそれじゃ「蹴りたい背中」じゃん(笑)
そういうわけで三池さんの作品は面白いけど居心地悪いなぁって感じです。
じゃあ宮藤さんはどうなのか?って問われると微妙で、どうも宮藤さんは「俺」の中に「僕」を隠しもってるのが透けて見えるんですよね。
「僕」の男の子ががんばって「俺」になろうとしてるというか、「俺」にあこがれる「僕」というか、その中間のトコにいるからどっちも内包しつつ更に別のものになってくれる可能性があるのかなもと思います。
何だか全然ゼブラーマンの感想になってないですね。
基本的に面白いです。何かティム・バートンの「エドウッド」を思い出しました。もしかして特撮のチープさを刺して「なっちゃいねぇなぁ」と思う人がいると思うかもしれませんが、あれはわざとチープにやってるんだと思います。そもそもかつて放送されてたゼブラーマン自体チープでしたからね。
あの昔の特撮のベタベタで安い、でも熱い感じを再現したかったのが狙いかなぁと思います。しかもその姿勢が今放送中の仮面ライダーシリーズや平成ガメラみたいな、先鋭化*3することで失った何かを突きつける形になっていて、いい意味でのオタク表現に対するアンチになってるかと思います。その意味でオタク業界の方々がどう反応するか楽しみなんですけど(笑)
ただ私はこれで宮藤さんの表現がオタクに届くと思ってたけど、かえって敵を増やしたかと心配で。
ちなみにお客さんには普通の親子ずれもいてびっくり、結構エグいシーンもあったのでいいトラウマになったかなぁと思います。

*1:あんまり当たり前なんでなんだけど、脚本家市川森一さんからですよね。宮藤さんと市川さんは、ジャンルを選ばずいろんなトコで書いてたトコが似てるかも、何かの雑誌で「池袋ウエストゲートパーク」を現代の「傷だらけの天使」と評してたけど、較べてみるのもオツかも

*2:出てもお水系のお色気担当

*3:テーマや表現