1980 ケラリーノ・サンドロビッチ監督

まず先にネタバレがいくつかありますけどご了承ください。

ストーリーは1980年を舞台にしたある三姉妹の話で
長女が犬山イヌコさん演じるカナエ
次女がともさかりえさん演じるレイコ
三女が蒼井優さん演じるリカ
この三人の恋愛の話でそれが80年の風俗に乗せて演じられます。
どうやら東京ガールズブラボーへのオマージュらしくエンドロールではYMOのライディーンに乗せてSPECIAL THANKSで岡崎京子さんの名が
これだけでもう涙ウルウルです。
観てるときから何となく岡崎さんっぽいなぁと(特に恋愛と男のコの描写に)思ってたんだけど、いい意味で岡崎テイストを映像に持ち込めた初めての作品なんじゃないでしょうか?と私はかってに思ってるんですけど。
ラストの屋上のシーンもそうだし。

あと80年代を再現するにあたって多分意図的に昔の大林宣彦さんや相米慎ニ監督*1のアイドル映画のあのダサさ、野暮ったさ、と同時にあるほろ苦さを取り入れたのではないでしょうか?
私にとってこの作品ってよく出来たアイドル映画なんですよね。昔の角川映画みたいな。
それにしても「ともさかりえ」さんはいい女優さんになったなぁと思います。
顔のバランスは気になったんですけど(笑)
この三姉妹がホントいいです。三人の会話もいいし、単体で出てるときもいい
やっぱり80年代って女の時代*2だったんだなぁと思います。
逆に出てくる男がみんな酷くて(笑)
よく男の監督であれが書けるなぁと感心します。
どうにも演劇から来てる人ってその辺り強いですよね。男とは女とは!みたいな思い入れがない人が多い気がします。
ともさかりえ演じるレイコが作中で「大人になったからって大人になれないのよ」っていう恐ろしい台詞があるんだけど、あれは胸に突き刺さりました。
私はこの話、80年代の風俗がわからないと理解できないって言い方したくないんですよ。
ここで描かれてることはわりと普遍的な、ただしこれが普遍的な問題になったのは80年代からかもしれないけど、ちゃんと今の問題なんだと思います。岡崎京子さんは大人の女のモデルがなくなったという言い方してましたけど、気になるのはレイコの今後ですよね。彼女はどういう大人になったんだか?今でも惚れっぽいまんまなのか?
恋愛の視点からも読み解きたい作品です。

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明日はドラッグストアガールを見に行く予定です。

*1:自主映画のカメラがピンボケでやけになった部長が突然踊り出したのは台風クラブを思い出しました

*2:もっと言うと女の子の視点から見るとすんなりまとまるというか