今月のサイゾー

紀:オレが今、本気でみんなに問いたいのは、「真撃であるって何だろうね?」ってことなんだよ。真撃に物事を考えたり、真撃に人と向き合うってこと。真撃に世界平和を願うなんて言うと、今は笑われちゃうでしょ?でもオレはどこがいけないんだよって思うんだよ。オレは、それを勝手に高みに登ったつもりになって見下すようなことだけは絶対したくないの
酔いどれ天使紀里谷和明インタビュー

いやぁ〜面白かったです。熱い。
サイゾーの記者さんに説教する紀里谷さんサイコー。
つーか押されるなよサイゾーって感じ。
勝手な印象だけど尾崎豊ってこんな感じだったんだろうなぁって思った。
記者に甘えるのもうまいというか。
何か愛嬌あるんですよね。やっぱ育ちのいい子は違うね(嫌味)
でもこういう紀里谷さんが作ったキャシャーンだからこそちゃんと真撃に
批判しとかんといかんなぁと思うし紀里谷さんもキカンといかんと思う。
そうじゃないと甘やかされて早晩ダメになるよ多分。

インタビューでは技術的な意味での批判に対する反発に終始してたけど、私は思想とかメッセージとしてのキャシャーンもダメだと思った。
要するに戦後民主主義の最悪の劣化だもん。アトムから始まった果てがコレかよって感じで。
何か物事を真撃に考える人の態度じゃないと思った。
華氏911と真逆って言えばいいのかな。
例えばいろいろ考えて試行錯誤した結果。
世の中善悪では簡単に切れない複雑な事情があるんだ。と思わせるんなら納得するけど
キャシャーンの場合、そこがスタート地点で、そっから先のどうやったら戦争が終わるか?
そのために何をすればいいか?への具体的な動きはないもん。
何か迷ってる僕って健気って自分に酔ってる感じで。
スタート地点からして嫌なんですよ、死んだキャシャーンを親父が蘇生させようとLCLの海に入れようとしたらキャシャーンの幽霊が「やめてくれ父さん。オレは戻りたくないんだ」って
アレ見た時違うだろって思った。
普通だったらルナやお母さんを助けるために自分から人間の身体を捨ててでも生き返るってのが
キャシャーンじゃないの?その被害者意識が延々と最後まで続いて。
多分紀里谷さんって父親に対するコンプレックスとかがあってそれがテーマなんだろうけど
それだって裏返しの甘えだろって気がする。状況を引き受けないための。
多分これがオリジナルならそんなに腹立たないと思うんですよ。
今だに何でキャシャーンなのか、さっぱりわかんないですし。

もしかして紀里谷さんは自分の意見がオリジナリティあると思ってるかもしれないけど
違うんですよ。この甘えた感覚って日本人のマジョリティの感情なんですよ。
戦後から一貫した。だから大ヒットしたわけで。
多分、大塚英志とか大好きだと思いますよキャシャーン戦後民主主義的理想そのものですもん。
とまぁ真撃に書いてみました。

あとM2対談も面白かったし山形道場もよかった。
山形浩生さんの華氏911評はほとんど同意見。
これを一ヵ月前に読みたかった(笑)

サボテンジャーニー

生まれも育ちも、考え方も違う男女3人が東京から高知までドライブをするロードムービー
新型コンパクトカー『TIIDA』を購入し、妹の結婚式が行われる故郷・高知を目指そうとしていたカメラマンの長谷川綾(小林聡美)は、ひょんなことから“人間カーナビ”のナビオこと観音崎実(田辺誠一)、式場から逃げ出してきた花嫁・上原美香(市川実和子)を乗せるはめに――。
“運命のいたずら” という言葉では、到底片付けられない形で出会った3人が、高知への道中で悩み、怒り、悲しみ、歌い、そして、ようやく少し笑う。
4日間のドライブは、人の心をちょっとだけ変えた――。
http://www.ntv.co.jp/saboten/

18日から21日、日本テレビ系列 夜11:40から放送中らしいです。
今日たまたま見たら面白かった。
小林聡美市川実和子だから「すいか」のスタッフなんだと思います。
ノリが近いです。
4日目つまり明日は酒井若菜小林聡美の妹役で出るらしいです。
スポンサーが日産だから車の宣伝もかねてるんですよ。
その作りが面白かった。

サブカルちゃん

http://www.matsuosuzuki.com/kansochan.html
恋の門の感想募集コーナーなんですけど
案外、恋乃に感情移入して見てた人多かったのかも。
だとしたらそんなに読みは外れてないかな。
正直私は大人計画自体には過剰な思い入れはないんですよね。
宮藤さんに対してもまず木更津キャッツアイありきで。
そもそも演劇見てないのでコアなファン面できなくて(笑)

今、コアなクイックジャパンとか好きなサブカルちゃんは
大人計画に過剰な内面を託しながら派遣のOLとかキャバ嬢やって
やり過ごしてるんだろうなぁ*1。普段はそういう顔見せないで。
そういうコにとって酒井若菜とか平岩紙ちゃんってのは結構同一化の対象なのかも
とか思う。そうやって考えると木更津〜とかが女性ファン中心ってのはわかりやすいなぁ
と今更ながら思います。

*1:なんとなく10代ってより20代のファンの方が多いイメージがある、それも学生じゃなくて社会人とか

映画はなんで失敗するか。

山「でも実際、僕はこれから映画を作ろうという人間すべてにこの映画を観せるべきやと思う。だってこの映画を観たら、娯楽映画を作る際に、何をやったらあかんかがよく分かるやろ? それさえ守れば、駄作が作られる可能性が極端に減らせると思うねん。『ドシロウトに主役をやらせたらあかん』とか、『シチュエーションをすべて台詞で説明したらあかん』とか、『金もないのに大作映画を作ろうとしたらあかん』とか、『キャラクターの心理はちゃんと考えなあかん』とか、『エピソードを羅列したらストーリーになると思ったらあかん』とか、『原作の重要なシーンをカットしたらあかん』とか、『有名人に意味のないカメオ出演させたらあかん』とか……」
和「いっぱいありますね(笑)」
http://homepage3.nifty.com/hirorin/devilmaneiga.htm
デビルマン』は映画ファン必見だ!(山本弘のSF秘密基地)より

ふぬけ共和国さん経由でhttp://picnic.to/~funuke/index.html

いやぁデビルマン見ないでよかった。
山本弘さんは邦画ダメみたいな言い方してるけど違うんですよ。
大作邦画がダメなんです。

単館系はちゃんとがんばってるあとアニメも。
まぁアニメは微妙だけど大作邦画ほど酷くない(と思う)

これって何かというと、プロデューサーと配給側の責任だと思う。

ちゃんと儲けようとしてるならまだしも、中途半端に利権とか人間関係が絡んだせいで
冷静に商売として見れてないから、中途半端な装備で戦場に放り出された軍隊の隊長が暴走みたいなことになって。
だからシナリオが練れてなくて無駄なシーンがやたら多くて大事なシーンがない無駄に長い映画ばっかりになる。
アニメの場合は描かなきゃいけないコストがどうしてもあるから
逆算して無駄なシーンは省かれてまだマシなんだけど(それでも大友某とかの例はあるけど)


日本って全部こうじゃないかなぁって思う。
個々細部の人は優秀なのに全体を統合して判断する人が決定的に欠けてるというか。

もう大作映画作るのやめてほしいです。別にハリウッド目指さんでいいから。
いいじゃん邦画は地味でちまちました世界描いてりゃ。
って思った。

追記・しっかしデーモンは弱者として描かれてるんだ。キャシャーンと同じだなぁ。
上では単館系はいいって書いたけど「恋の門」みた感想としては必ずしもそう言えないトコあるんですよね。酒井若菜*1だけは素晴らしかったけど。
作家性の名の下にプロデューサーが何もいわず
好き勝手させるのは監督に対しても失礼だと思う。
キャシャーンの時も思ったけど仕事しろよ!って思う。
あとやたら関係者とか友達関係出すのもやめてほしい。
あれって長い目で見たらよくないよ馴れ合いだもん。
パンフみたら田舎のサブカル好きは喜ぶみたいなこと誰かが対談で言ってたけど
なんか馴れ合いの腐臭をかいだ気分がした。
「僕らおともだちで〜す」みたいな。まぁそれがコミケが舞台の話にぴったりとは
思うけど(笑)松尾スズキさんを甘やかすなって感じ。

特にイマワノキヨシロウだすのはやめてほしい。
何かサブカル業界に入る人はイマワノさんに挨拶しないといけないみたいなルールあるの?
それとも自主的か?お前はサブカル総会屋か?とか思った。

*1:私は酒井若菜の背後に500万人の酒井若菜を見たね。この映画、会社に通う傍ら同人誌とコスプレにいそしみ夜はイメクラでバイトするオタクOLの話にすればいいのになぁと思った。そういう女性が抱え込んでる鬱屈と不安が時々噴出すんですよ映画みてて、その瞬間だけドキっとした。なんかモー子の時も思ったけど、ナチュラルに壊れた女やらすとスゴイなぁと思う。モー子とは正反対の役なのに、ラストの方で自分が薄っぺらで何もないからコスプレするんだってかんじの台詞が出てくるんだけど、まさにそういう女優さんだと思う。と同時に恋の門に対する不満もそこなんですよね。こんだけ題材が面白いんだから小細工しないでまんまみせりゃいいのにと思った。だから結果的に松尾さんがやった小細工を酒井若菜の顔のリアリティが「そんなの嘘っぱちよ」と蹴散らした感じで、その意味で酒井若菜の映画で、そういう観点で見るなら嫌いじゃないけど映画としてはダメだと思う。

黒革の手帖がめちゃくちゃ面白いと思ったら
脚本が神山由美子だった。
女同士のぶつかり合いみたいの書かせたら一番だな。
シリアスなんだけどユーモアがある。
オマケに何か安い(笑)いいのか開局45周年で。
米倉涼子とか釈由美子
はお水の世界がはまるなぁと思う。

下弦の月 ラスト・クォーター 監督・二階健

栗山千明はいい。
彼女の存在がいかに不自然かよーくわかった。
インストールの予告で上戸彩の演技見てたんですけどすご〜く自然だったん
ですよ。子役の子も。
それに較べるとえらい芝居かかってて、日常の演技ってのができない人なんだなぁ
って思った。
逆に言うと普通に喋ってても何か凄みがあるというか怖いというか(笑)
後半日常シーンが消えてイメージの羅列みたいになるんですけど、そこが一番いいんですよね。
普通に会話してるシーンが一番うそ臭かった。
ホラーかコメディにしか居場所がない大物感を漂わせてますね。

でも映画としてはというより物語として正直辛い。
最初の30分くらいいらないと思う。
あの幽霊屋敷に舞台を限定して、そこに猫を探して迷いこんだ女の子
がピアノを弾いてる頭のおかしい美少女と出会う。
それだけで充分だと思う。
それで女の子の友達が心配して来たら一人ごと喋ってて、女の子にしか彼女が見えなくて
そこから栗山千明のことぉ調べていっていろいろわかるみたいな。
そしたら栗山千明の彼氏が浮気してたこととか家庭崩壊気味だとかの設定が効いて来て
彼女が現実から逃げるために前世の恋人の妄想に憑依されてるってことが
生きてくるのに。
これ恋愛映画じゃないと思う。
狂女モノというか(笑)
ってそんなジャンルないけど。
何より許せないのが成宮演じる彼氏だよ。
台詞よく覚えてないけど
「たしかに俺にも原因があるけど(現実に)戻ってくれないのはアイツの弱さだ」
みたいなこと言うんですよ。
しかも、コイツがムリヤリ現実に戻そうとして栗山千明に憑依していた女の幽霊に彼女の恋人のアダムが死んでたことを伝えるんですよ。
全部元凶お前じゃん。しかも反省も後悔もしてなくて。
もう「私の全存在をかけてあんたを否定してやる」って感じですよ。
私心底あのヒロインの同情したもん。
だって現実に帰ってくる理由、一個もないでしょ。
すくなくともストーリー上での説得力はなかった全く。
自分の親友と浮気したこと結局許したの?
家族の母方の娘の問題は?
もし帰ってくるなら、アダムとかが成仏するより、家族とか恋人との関係が
ちゃんと構築されることの方が大事だと思うんだよなぁ。
少なくとも大島弓子さんならそこを描くと思う。
何もドラマが完結してないのにムードだけで流した感じ
だったらせめて最後に彼氏振るとかさせてほしい。
そして親も男もダメだ私は一人で生きるんだみたいな。
アイツ絶対また浮気すると思う。
でもあんなもんなのかな?最近の若いもんの恋愛感は。
多分矢沢あいの恋愛感でいい男はモテるから浮気も仕方ないみたいのがあるんだろうなぁ。
見てて思ったのは大島さんの「四月怪談」とか「秋日子かく語りき」もそうかな?
それの矢沢あいバージョンだったのかな?と思った。
ただ大島さんだと影から見守ってた気のやさしいオトコノコがいて、その男の子とのか細い関係で何とか現実とつながれる、帰ってこれるみたいのがあるんだけど。

それにしても見てる間ティム・バートンビートルジュースとかシザーハンズ
思い出してた。ビートルジュースのリディア?っていうウィノナ・ライダーが若い頃演じてた
幽霊が見えるオカルト少女がいるんだけど、彼女もまた家族に絶望してるんですよね。
それで異界の存在に引かれるみたいな感じで。
あのアダムってのも甲斐性なしでさ、連れてってやれよって感じ。

帰りに恋の門のチケットを買った。
こっちの方が好みっぽい。